日本森林学会大会発表データベース
第133回日本森林学会大会
セッションID: P-314
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学術講演集原稿
現地観測に基づいた堆積岩山地と花崗岩山地の降雨流出特性の比較
*稲岡 諄小杉 賢一朗正岡 直也糸数 哲中村 公人藤本 将光
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抄録

山地源流域における降雨流出特性は地形や地質、植生など様々な要因に影響されることが明らかになってきた。特に地質に注目すると、多数の流域における長期観測記録から流域の降雨流出特性に対する地質の影響を説明した研究は少ない。そこで、本研究では堆積岩山地と花崗岩山地の2つの試験地で合わせて19流域を対象に流量観測を行い、直接流出と逓減傾向について解析した。

解析結果から流域の流出特性は地質の影響を受け、各地質に典型的な流出特性の存在が判明した。一定の降水量を境に直接流出の多い流域が異なり、降水量が少ないときは花崗岩流域、降水量が多いときは堆積岩流域がそれぞれ該当した。また、逓減傾向は堆積岩流域で花崗岩流域よりも急であった。一方で、この典型例に当てはまらない独特な流出特性を持つ流域も存在した。小規模降雨でも直接流出が発生しやすい流域では、基底流が多い傾向が見られた。これは堆積岩層理面の走向・傾斜や花崗岩の節理といった地質構造の影響で集中した山体地下水が湧出し、直接流出の寄与域となる飽和帯を広く保持しているためと推察された。他にも局所的に地形や地質の影響を強く受けた特徴的な流出特性を持つ流域があった。

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