日本森林学会大会発表データベース
第134回日本森林学会大会
セッションID: P-152
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学術講演集原稿
低木の展葉フェノロジーがブナ稚樹の光獲得と成長に与える影響
*Kaede SatoMasami TsukaharaKosuke ItoRei Shibata
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キーワード: 光環境, ギャップ, 二次林
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抄録

ブナの天然更新は低木型林床で成功しやすいことが示されており、その多くは旧薪炭ブナ林である。しかし、低木の被陰下における天然更新成功過程は明らかにされていない。ブナは展葉が他樹種より早く、光獲得において有利であることが報告されている。そこで本研究では、ブナ稚樹と低木樹種の展葉フェノロジーの違いに着目し、季節的な光環境の変化がブナ稚樹の成長に与える影響を調べた。調査は新潟県魚沼市の旧薪炭ブナ林に形成された6カ所の人工ギャップにて2022年5月から10月にかけて実施した。計196個体の4年生のブナ稚樹を対象に各年の伸長量と展葉前後の光環境を調査した。また、ブナ稚樹および6種の低木樹種について展葉フェノロジーを調査した。そして、当年のブナ稚樹の伸長量を目的変数とし、ブナ稚樹展葉直後の光、ブナ稚樹のみ展葉完了した時点の光(中間の光)、低木被覆直後の光、前年のブナ稚樹の高さを説明変数としてGLMMによって解析した。ブナ稚樹の展葉開始は殆どの低木樹種よりも遅かった一方、完了は早かった。伸長量に対しては、中間の光による正の効果が最も大きく、低木の被覆前の光獲得がブナ稚樹の伸長成長に対して重要であることが示唆された。

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