日本森林学会大会発表データベース
第134回日本森林学会大会
セッションID: P-232
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学術講演集原稿
ダケカンバの電子伝達速度と気孔コンダクタンスの環境応答とその産地間変異
*中田 修人佐藤 温起岡田 健太郎荒木 響子相原 隆貴津村 義彦後藤 晋飯尾 淳弘
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抄録

地球温暖化に伴う急速な気候変動によって植物の分布が変化すると予測されている。広範囲に分布する種では、地形的制約による遺伝子流動の阻害などで生息地によって形態や生理機能が異なる可能性がある。気候変動による分布予測を行う場合、こうした植物形質の違い(産地間変異)を理解することは重要である。そこで本研究では、冷温帯上部から樹木限界にまで広く分布するダケカンバ(Betula ermanii)について、産地試験地を用いて葉の光合成機能や水利用特性の変異を明らかにすることを目的とした。調査地は上阿多古演習林(年平均気温13.3℃)と八ヶ岳演習林(7.1℃)の2サイトで、各サイトには11産地の5年生苗木が植栽されている。この中の5産地について葉の電子伝達速度(ETR)と気孔コンダクタンス(gsw)の日変化を季節を通して測定し、その環境応答特性の産地間変異を調査した。ETRのライトカーブと温度カーブについては、産地・サイトによる差は小さかった。一方でgswの環境応答には産地差が確認され、天竜サイトではアルプス西駒が、八ヶ岳サイトでは雨龍が同じ環境条件でも他の産地よりも高い値を示した。産地によって水利用効率とその可塑性が異なる可能性がある。

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