日本森林学会大会発表データベース
第134回日本森林学会大会
セッションID: P-294
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学術講演集原稿
ブナ二次林土壌の温室効果ガス動態に間伐が及ぼす影響
*Hiroki AkitaHirohiko NaganoRei Shibata
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抄録

森林土壌は二酸化炭素(CO2)および亜酸化窒素(N2O)を放出し、メタン(CH4)を吸収することで、大気中の温室効果ガス濃度に影響を及ぼしている。各ガスの放出・吸収速度は主に土壌の温度・水分・栄養塩濃度によって制御されるため、一般的にこれらを上昇させる森林伐採はCO2・N2O放出を増大し、CH4吸収を抑制するといわれる。しかし、日本の森林に広く分布する火山灰土壌では特に伐採による土壌水分の増加が起こりにくいと期待されることから、CO2放出速度やCH4吸収速度は変化しない一方、N2O放出速度は増加する可能性がある。本仮説を検証するため、火山灰土壌に成立するブナ二次林における間伐が土壌の温室効果ガス動態に及ぼす影響を調査している。調査は新潟県魚沼市に位置するブナ二次林で行っている。間伐後1年が経過した1地点および未伐採の3地点から採取した表層土壌(深さ0~5cm・5~15cm)を20℃で4週間培養した。その結果、CO2放出速度は間伐地と未伐採地で違いが見られず、N2O放出速度は間伐地で大きい傾向が見られ、仮説を支持した。一方、CH4吸収速度は未伐採地よりも間伐地で低かった。今後これらの温室効果ガス動態の変動要因を土壌理化学性の違いなどから検討する。

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