抄録
ファジィ認知マップ(Fuzzy Cognitive Maps:FCM)とは有向グラフとノードを用いて複数の概念の因果関係をモデル化するものである。しかし, 従来のモデルでは概念間のつながり, つまり因果関係やその関数表現はエキスパートに任されており, 明確な決定法は提案されていない。そこで本論文では, 実際のデータから因果関係を抽出して自動的にファジィ認知マップを生成する方法を提案する。提案システムではまず実際のデータから各概念間の因果関係を直線型または山型の関数で近似する。次にその関数が実際のデータをどれくらい反映しているかを信頼度という尺度を用いて表す。この信頼度を元にして各概念を結び付けてマップを生成する。本システムには次のような大きな特徴がある。(1)与えられた問題に対する知識がなくてもFCMを自動的に生成できる。(2)信頼度を考慮することによって因果関係を示す結合の本数も決定できる。因果関係を示す結合を少なくし, 重要なもののみ残せるようになれば, 複数の概念間の関係を理解するのも容易となる。計算機シミュレーションにより, 本システムの有効性を確認した。