1998 年 10 巻 5 号 p. 947-956
本論文では、言葉とフォールトツリーを用いて人間の信頼性を解析する解析モデルについて述べている。このモデルでは、信頼性に関して表現された言葉の意味を主観的信頼度上で定義される主観的不信頼性尺度を用いて表現し、フォールトツリー解析で基本となるそれらのand演算、or演算を定義している。また解析結果も言葉で表現している。そして本論文では特に人間の信頼性固有の概念として、従属性の問題と行うべき作業の順序の問題に焦点をあてている。続けて行う類似した作業間には従属性が存在する場合があり、エラーしやすくなる従属性と成功しやすくなる従属性の2通りを考える必要がある。特に後者の従属性は人間の信頼性固有のものである。また、複数ある作業にはそれらの作業を行う順序が定められている場合もある。その場合、作業順序を考慮した解析が必要である。これも人間の信頼性固有のものである。本解析モデルの有効性を示すために従属性と作業順序を考慮した例題について解析し、その解析結果を検討している。