抄録
書字運動の評価はペンタブレットを用いた測定が一般的である.しかし,ペンタブレットでは書字動作中に用紙に接触していない部分である空筆部の分析が不可能であるため,本研究では,空筆部についてもデータ取得可能なモーションキャプチャを用いて検討した.実験参加者は,小学5年生~中学3年生の児童・生徒であり,ホワイトボードに手本となる漢字(「牛」,「毛」,「友」,「戸」)を提示し,鉛筆を用いた書字を行った.書字部及び空筆部における,画数ごとの書字時間,標準化躍度スコア(運動のなめらかさの指標)を分析した.その結果,書字部・空筆部ともに書字時間と標準化躍度スコアに正の相関が認められた.