人間が物理的対象に対して抱く印象や感情を翻訳する手法として感性工学、あるいは感性情報処理法が普及している。感性工学手法では、因子分析や数量化理論を用いて感性ワード間の関係、あるいは感性ワードとデザイン要素との関係を抽出する。しかし、商品などの感性評価データは個人の好みを反映して大きな分散を持つ。本研究では、感性ワード間のファジィな距離を因子空間において同定することを試みる。具体的には、平均データにより構成された因子空間に個人のデータを写像することにより、感性ワードを因子空間内のファジィ対象として認識する手法を提案する。この手法は、素データの評定者変動量の比を保存するという特徴を持つ。つぎに、雲のような広がりを持つファジィ対象間の距離の与え方について検討し、そのような対象に対する適切な分類法について考察する。