日本ファジィ学会誌
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証拠理論に基づく複数の確率・可能性変換法に関する考察
山田 耕一
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2001 年 13 巻 3 号 p. 302-312

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抄録

確率と可能性間の変換はZadehが可能性理論を提案して以来多くの研究者により研究されてきた。しかし、既存研究の多くは確率と可能性間の変換時に満たすべき条件を議論し、発見的に考案した変換式がその条件を満たすことを証明するに留まる。したがって提案された変換式が与えられた条件を満たす唯一の式とは限らないものが多い。本研究では証拠理論に基づく3種類の変換法を新たに検討し、議論する。これらの方法はいずれも確率と可能性間の変換において満たすべき原則を与え、その原則から一意に導かれる変換法を得る。1つの変換法(T1)では可能性を順序尺度と見なして与えられた確率分布から可能性の大小の順序構造を得る。残る2つ(T2、T3)は可能性を不確実性の比例尺度として扱い、確率分布から可能性分布を導く。特にT3に使われる原則は双方向に変換可能な式を導くが、それはDubois & Pradeが発見的に導いた変換式と全く同一になる。これらの3種類の変換法は、確率から可能性を求める場合にはまたく同一の可能性の順序構造を得るが、可能性分布についてはT2とT3で異なる。そこで確率分布から可能性分布を求める場合、T2とT3のどちらがより望ましいかを与えた原則の観点から考察する。考察の結果T3が望ましいことが示唆される。

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© 2001 日本知能情報ファジィ学会
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