日本ファジィ学会誌
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ファジィ多目的計画問題に対する解の概念
乾口 雅弘久米 靖文
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1990 年 2 巻 1 号 p. 65-78

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抄録
従来、係数をファジィ数とする数理計画問題では、問題の複雑さのため、主として意思決定者から選好構造や希求水準を引き出すことにより目的関数を取り扱ってきた。すなわち、最適化よりむしろ満足化を行ってきた。近年、ファジィ数理計画問題に対しても、最適性や有効性の概念を拡張することにより、目的関数を取り扱い、最適化を試みようとする研究がある。本研究では、二つの方法により、通常の多目的計画問題における有効解あるいは非支配解の概念をファジィ多目的計画問題へ拡張する。二つの方法とは、有効解の概念を直接拡張する方法と、目的空間上の支配関係から決定空間上の支配関係を構成することによる方法である。これらの方法に従い様相測度を用いて定義すると、前者の方法では2種類、後者の方法では6種類、計8種類の解の概念が得られる。そこで、これら8種類の解を整理するために、これらの解の強弱関係を議論する。その結果、一般に、これらの解は6種類にまとめられ、特に、各ファジィ係数間に相互関係が存在しない多目的線形計画問題の場合は、支配関係を通常の関係≧とすれば、4種類になることが明らかになった。これらの解は、様相測度を用いて構成されているので、解の意味を言語を用いて表すことができ、ファジィ多目的計画問題の解の妥当性を議論するうえで重要になると考えられる。
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© 1990 日本知能情報ファジィ学会
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