日本トキシコロジー学会学術年会
第36回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-114
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金属・環境汚染物質
有機フッ素化合物によるヒメダカ肝臓中CYP3As発現誘導
*山内 良子石橋 弘志平野 将司金 俊佑高尾 雄二有薗 幸司
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抄録
【目的】有機フッ素化合物(PFCs)は難分解性、生物に対して高蓄積性を示し、環境汚染物質として注目されている。フッ素テロマーアルコール(FTOHs)は生体内代謝や環境中での分解によって、PFCsであるペルフルオロオクタン酸(PFOA)を生成する。チトクロームP450(CYP)はヒメダカでは、CYP3A38/40遺伝子が知られておりステロイドホルモン代謝に重要であることが報告されている。しかし、PFOAによるCYP3A分子種の発現変化が報告されているものの、FTOHsの魚類CYPに及ぼす影響に関する報告はない。本研究では、FTOHが魚類のCYP3A分子種に影響するか否かを明らかにするため、ヒメダカ(Oryzias latipes)をモデル生物とし、PFOA、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、8:2 FTOHおよびエストラジオール-17(E2)の影響を比較・検討した。 【方法】順化した雌雄ヒメダカに、PFOA,PFOS,8:2FTOHおよびE2(雄のみ)をそれぞれ3日間曝露した。試験水は24時間毎に交換し、水温25±1℃、光周期16h:8h(明期:暗期)、餌はブラインシュリンプ孵化幼生を1日に2回飽食量与えた。曝露終了後、肝臓を摘出し、定量的リアルタイムPCR法により肝臓中のプレグナンX受容体(PXR), CYP3A38/40遺伝子発現量を測定した。内部標準遺伝子として-actinを用いた。 【結果】PFOSは雌ヒメダカ肝臓中CYP3As遺伝子発現を増加させたが、8:2FTOH, PFOAは影響を及ぼさなかった。一方、8:2FTOH, PFOA, PFOSは、雄ヒメダカ肝臓中CYP3As遺伝子発現を増加させたが、E2は、影響を及ぼさなかった。また、すべての曝露群において、雌雄ヒメダカ肝臓中PXR遺伝子発現に影響が見られなかった。
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© 2009 日本毒性学会
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