日本ファジィ学会誌
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複数評価基準にもとづくファジィモデルとニューロモデルの総合評価(<特集論文>ファジィ・ニューラルネットワークとその応用)
片山 立梶谷 雄治鍬田 海平西田 行輝
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1992 年 4 巻 5 号 p. 942-957

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抄録

ファジィモデルやニューロモデルはいずれも多入出力システムの非線形な入出力関係をモデル化する手法としてとらえられるが、特にマイクロコンピュータ応用製品への実装の観点からどのモデルが最善か、という考察はあまりなされていない。本論文では、特にマイクロコンピュータ応用製品へ実装する際に機器設計者が考慮しなければならない複数の評価基準として、モデル誤差、モデルの実装に必要な記憶容量、モデルの学習速度、実行速度等を導入し、これらの評価基準にもとづいてファジィモデルとニューロモデルの基本的な性質を比較し、さらに総合的に評価する手法について考察する。すなわち、まず複数の評価基準にもとづいてモデルを評価した場合の合理的なモデルの候補として、多目的決定問題における完全最適解と非劣解の概念を応用した完全最適モデルと非劣モデルを導入する。さらに完全最適モデルが存在しない場合に、学習済みのモデルに対して非劣性のチェックを行って得られた非劣モデル集合の中から、設計者の有する選好基準にもとづいて唯一の選好最適モデルの決定を支援する方法として、情報量基準にもとづく手法と、評価量に関する希求水準を対話的に引き出すような対話型満足化手法を応用した手法を考察し数値例によってその有効性を示す。

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© 1992 日本知能情報ファジィ学会
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