抄録
本論文では, マムダニのファジィ推論法に代表される, 連言関数によりファジィ関係を構成するファジィ推論法を, 必然性測度を用いた不確実性生成ルールの観点から解釈する.まず, 必然性測度を用いた不確実性生成ルールの後件部変数を, 推論したい変数のとりうる範囲を示す変数とみなし, このルールに基づくファジィ推論法を定式化する.この際, とりうる範囲を示す変数が, 通常取り扱われているように変数のとる値が唯一である選言変数でなく, 変数のとる値が複数個ありうる連言変数であることに注意し, 連言変数に対する必然性測度に基づき定式化する.次に, 定式化されたファジィ推論法が, 連言関数によりファジィ関係を構成する従来のファジィ推論法と類似していることから, 従来のファジィ推論法との相互関係を吟味し, いくつかの条件のもとで, 必然性測度を構成する含意関数とファジィ関係を構成する連言関数とが一対一に対応することを示す.これにより, 連言変数に対する必然性測度を用いた不確実性生成ルールに基づくファジィ推論法として解釈できる, 連言関数によりファジィ関係を構成するファジィ推論法の範囲が明らかにされる.最後に, 必然性測度を構成する含意関数とファジィ関係を構成する連言関数との対応関係が吟味される.