抄録
一般に従来のファジィ推論をサポートしているエキスパートシステムはマルチウィンドウによるルールエディタ等のユーザインタフェース機能は比較的高いが、シェルの上でルール起動するためユーザプログラムとのリンクが困難であったり、シェルシステムが大規模なため推論スピードが遅くリアルタイム制御に不向きであるなどの問題点があった。そこで筆者らはリアルタイム知的制御用としてユーザプログラム主導型のファジィシェルFRASH (Fuzzy Real-time Advanced SHell)を開発した。本論文では、主にFRASHの基本構成並びに表現機能について述べる。このシェルはライブラリ形式の高速な推論エンジン、推論におけるすべてのデータのオンラインチューニング機能、マルチウィンドウによるオフラインエディタ機能、推論状況表示機能、ファジィ数をスロット値として定義可能なファジィフレーム表現、マクロ記述によるファジィアルゴリズムコンパイラなど数々の特長を有している。またシェルの基本機能を確認するため、車の追従/追越制御を例題として簡単なシミュレーションを行なった。これにより、FRASHのファジィ推論機能はリアルタイムのメカトロ制御には十分高速であること、ファジィフレームおよびファジィアルゴリズム機能はマクロな意思決定問題の記述に有効であることを検証することができた。