日本ファジィ学会誌
Online ISSN : 2432-9932
Print ISSN : 0915-647X
ISSN-L : 0915-647X
メンバーシップ関数による教師の評価基準の構造の推定 : 書道作品の講評について
宮地 功
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 6 巻 1 号 p. 211-220

詳細
抄録
実技を伴う教科についての到達度評価は、教師の主観によってなされる。本論文では、主観に基づいて教師の評価構造を関数の形で把握することを考える。その関数としてファジィ理論で用いられているメンバーシップ関数を用いる。教師の評価構造に最も適合するメンバーシップ関数を推定する方法を提案する。対象となる作品について、講評に記述されたいくつかの評価項目について到達レベルの程度を読み取る。ファジィ推論を応用して該当する評価項目についてのメンバーシップ関数の面積の重心を求める。その重心の和を記述されている評価項目数で割った値を作品の得点とする。従来の10段階評価とファジィ推論による評価との差を求め、全ての作品についてその絶対値の平均(平均差)を求める。メンバーシップ関数を変えて評価値を43種類求める。その中で平均差が最小であるメンバーシップ関数をその教師が考えている評価構造であると推定する。そのときのファジィ推論によって求められた評価をファジィ評価と呼ぶ。実例として書道の4作品について現職小学校教師に講評を記入してもらった。求められたファジィ評価と10段階評価とを比較した結果は提案した方法が有効であることを示している。
著者関連情報
© 1994 日本知能情報ファジィ学会
前の記事 次の記事
feedback
Top