日本ファジィ学会誌
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加法的ファジィクラスタリングモデル
佐藤 美佳佐藤 義治
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1994 年 6 巻 2 号 p. 319-332

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抄録
本論文は, 分類対象の集合上で観測された対象間の類似度データに対する加法的ファジィクラスタリングモデルを提案しその性質について考察したものである.クラスタリングモデルにおいてクラスターとはある種の共通な性質を有する対象の部分集合として定義される.従来の加法的ハードクラスタリングモデルにおいては, 対象間の類似度はそれらが共通に属すクラスターに付けられた重さの和として表現される.したがって, このモデルによって対象間の類似度の構造を説明するためには類似度のもつ潜在次元数とクラスターの個数との関係から多数のクラスターを必要とする.本論文では, ファジィクラスター(分類対象の集合上のファジィ部分集合で表現されるクラスターをここではファジィクラスターと呼ぶ)の概念を加法的クラスタリングモデルに導入することによって少数のクラスターで類似性の構造が説明可能となることを示し, この概念に基づく3つのモデル, 単純加法的, 重複を考慮した加法的, 類似度の順序のみを考慮した加法的ファジィクラスタリングモデルを提案する.これらのモデルの考察から, 加法的ファジィクラスタリングモデルにおいては, 少数のクラスターでより詳細なクラスターの性質が抽出可能となることが示される.さらに, 従来のハードクラスタリングの場合と比較して, 帰属度がファジィグレードで表現され, 帰属度の値のとり得る自由度が増加することにより, 類似度の構造とクラスターとの関連がより明確に表現できる.
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© 1994 日本知能情報ファジィ学会
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