抄録
ルカシュビッツの無限値論理をベースにしたファジィアブダクションを提案する.一般に多値論理におけるmodus ponensやmodus tolensでは推論結果は一意に決まらず, 真理値の集合として得られる.本研究ではある制限された状況で行なわれるmodus ponensとmodus tolensについて考察し, その状況下での推論(因果推論と呼ぶ)に関する仮説を導入する.そしてそれに従えば推論結果が一意に定まることを示す.次に, この因果推論に基づいて導出可能という概念と与えられたファジィ集合を導出するファジィ説明の概念を導入し, それらの性質と解構造について議論する.さらにファジィアブダクションをこのファジィ説明を導く手続きとして定義する.最後に, 提案したファジィアブダクションを用いた計算例を示す.