抄録
生産と輸送を一括して定式化した多期間にわたる生産・輸送計画問題は, 総合的かつ長期的な経営計画として様々な研究が行われている.生産と輸送を一括して定式化することで, 人手不足や交通渋滞などの社会情勢による輸送費用の上昇という問題に対処することができ, また, 将来の需要の変動による手余り状態や手不足状態に備えられるからである.しかしながら, 従来の多期間にわたる経営計画では, 不確実な情報を取り入れられるような定式化は試みられていない.また, 多期間にわたる経営計画より生じる多くの目標を合理的に扱えるような対話型解法の研究も少ない.そこで本論文では, 多期間にわたる生産・輸送計画問題において, 工場での残業時間, 予測需要量, 在庫水準, 輸送費用, そして目標水準にあいまいさを考慮して定式化を行う.そして, 非常に多くの目標と制約を含んだ複数の満足度を最小オペレータを用いて統合し, このモデルに対して対話過程にあいまいさを認めた対話型解法を提案する.