抄録
事象の因果関係をファジィ関係式として記述し、結果から原因を推定するファジィ逆問題について検討した。従来のファジィ関係式は、説明変数行列, 目的変数行列, およびシステム行列の要素が実数によって表現されていたため, 事象のあいまいさを考慮する際, 大きな障害となっていた。本論文では, ファジィ関係式の各行列要素をファジィ変数に拡張し, ファジィ関係式の逆問題の解法手段を体系的に検討した。行列要素をファジィ変数に拡張することによって, 一般的に, 得られる解が複数のファジィ変数となり極めて煩雑になるが, 本解法では, ファジィ数の演算をクリスプ値の演算に分割し, 従来の実数値ファジィ関係式の拡張として, 容易に計算処理を行なう手法を提案した。