抄録
本論文では、著者らの提案するファジィ構造モデリング「FISM/fuzzy」のファジィ推移的具象化における戦略を検討する。FISM/fuzzyは, 解析対象のシステムを構成要素集合上のファジィ擬順序関係として捉え, モデル化し, 分類, 整理するものである。ファジィ推移的具象化はモデル生成者の対象システムに対する認識をファジィ部分可到達行列と含意規則を用いて具像化する過程である。ファジィ部分可到達行列はファジィ可到達行列の拡張であり、これを用いることによってモデル生成者が柔軟にかつ矛盾なくモデリングを行うことが可能になる。含意規則はファジィ二項関係の推移的性質を利用してファジィ部分可到達行列の効率的な更新を実現する。よって利用者の一対比較を削減し、モデリングに対する負担を軽減することが可能である。本論文では, FISM/fuzzyのファジィ推移的具象化に対する戦略として7つの要素対選択方法を提案し, その比較実験を行い, 最適な具象化戦略を提案する。