日本ファジィ学会誌
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ファジィ可能性回帰分析に基づく土の圧密降伏応力の推定について
浅野 真岩崎 公俊小山 健
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1995 年 7 巻 6 号 p. 1260-1268

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抄録

土木工学の1分野である土の力学における圧密降伏応力P_cを精度よく推定することは, その土を材料として使用する場合には重要なファクターとなる。理解を簡単化するために広がりを持つ地盤の上に構造物を建設することを考えてみる。構造物そのものは基本的には荷重を受け持つものであるが, 自身の重さ(自重)も荷重として地盤に作用することになる。粘土のような地盤はこれらの荷重により圧縮力を受け、地盤中に存在する水分(間隙水)が周囲に押し出され徐々に時間と共に沈下する。一般にこのような現象を圧密沈下を生ずると呼ぶ。圧密による沈下量は基本的にP_cに関係し, 土に作用する応力がP_cを越えると沈下特性が劇的に変化する。一般的にはP_cが高いほど沈下量は小さくなることが期待できる。沈下量は構造物にとって本質的な問題を内蔵している。もし沈下量が比較的小さくまた一様なものであればまだ対策は講じられるが, 沈下量が大きくしかも均一でない(不等沈下の)場合には, 構造物自体の機能に大きい支障をもたらすことになる。このようにP_cの評価あるいは推定を精度よく行なうことは, その地盤上に構築する構造物の設計に不可欠となるもので, 面積的にも深さ的にも広がりを有する土のp_cの推定にファジィ可能性回帰分析を用い, 土木工学分野でのファジィ利用の促進を目指すものである。

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© 1995 日本知能情報ファジィ学会
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