日本ファジィ学会誌
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言葉を尺度とした主観確率の測定
増田 規彦繁桝 算男
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1996 年 8 巻 6 号 p. 1066-1072

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抄録

本論文は新しい主観確率の測定方法を提案する。主観確率を測定する方法として、過去にもくじを用いた方法などが提案されているが、本論文では自然言語とメンバーシップ関数を用いることにより人間の自然な判断を引き出せるとし、言葉を尺度として主観確率を測定する。また、本手法では主観確率を確率分布として表現するため、主観確率判断の確信の強さも知ることができる。本論文では主観確率の一意性を妨げる要因として2種類のあいまいさを扱う。1つ目は信念のあいまいさである。これは切断正規分布を仮定することにより表現する。2つ目は言葉のあいまいさである。これはファジィ理論でよく用いられる台形型のメンバーシップ関数により表現する。次に、判断者により自分の信念が各言葉にどのくらいあてはまっているかを数量的に判断できるとし、これにより各言葉を重み付け平均して主観確率の尤度を求める。そして事前分布に一様分布を仮定することにより、言葉とあてはまりの度合を所与とした主観確率分布が得られる。本手法によりさまざまな事象に対する主観確率を測定したところ、直観と合致し、直接的な数値判断よりも一貫性があることが示された。

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© 1996 日本知能情報ファジィ学会
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