抄録
微酸性電解水(有効塩素濃度30 mg/L、pH 6.0)の食品環境カビ・酵母30株(23属30種)に対する殺菌効果について、生残率0.01%以下および1%以下への減少効果を指標として評価した。その結果、微酸性電解水は、大半のカビに対して60秒の処理で生残率0.01%以下、30秒の処理で生残率1%以下の殺菌効果を示した。性質別(絶対好湿性、好湿性、耐乾性、好稠性)の微酸性電解水への抵抗性を比較すると、絶対好湿性や好湿性より耐乾性や好稠性のカビの抵抗性が高い傾向にあった。主要食品危害カビであるCladosporium(好湿性)とPenicillium(耐乾性)に対して、微酸性電解水は200 mg/L次亜塩素酸ナトリウム希釈液と同様の効果が得られた。一方、Chaetomium(好湿性)は非常に抵抗性であった。以上の結果を総合的にみて、食品環境カビに対して微酸性電解水は概ね良好な殺菌効果を示すと評価された。なお、全体的に見て、次亜塩素酸ナトリウム希釈液の殺カビ効果は微酸性電解水より良好であった。また、エタノール製剤(50%および67.1%)も試験した結果、微酸性電解水よりも全般的に顕著な殺カビ効果を示すことが認められた。