抄録
口腔内形態の型(印象)は石膏模型作製時の陰型として重要な役割を有する。型採り(印象採得)直後の印象に対する水道水での流水洗浄(親水性印象で2分間)と数十分間の薬液浸漬の組合せ処理が感染対策の推奨法であるが、表面性状や寸法精度への影響を懸念して不十分な処理となり模型に病原微生物が付着する危険性がある。本研究では、高い殺微生物効果を示す中性電解水(NW)を用いたアルジネート印象・石膏模型に対する流水洗浄処理の除菌効果を検討した。金属円板を原型とした印象試験片を菌液(S.aureus、5.0×107個/mL)0.3 mLで汚染させた。汚染印象試験片および流水洗浄後の印象試験片に硬質石膏練和泥を注入して模型試験片を作製した。未洗浄の模型試験片に対してもNW流水洗浄を行った。洗浄前後の各試験片表面を滅菌綿棒で拭き取って回収した菌を滅菌リン酸緩衝生理食塩水中に分散後、適宜希釈して寒天平板法により残存生菌数を算出した。0.5分間以上のNW流水洗浄後の印象試験片から残存生菌はほぼあるいは全く検出されず、続いて作製した模型試験片からは非検出であり、推奨法と同等以上の除菌率となった。未洗浄の模型試験片に対する0.5分間以上のNW流水洗浄でも残存生菌はほぼあるいは全く検出されなかった。0.5分間以上のNW流水洗浄はアルジネート印象・硬質石膏模型に推奨法と同等以上の高い除菌効果を示すことが示唆された。