2025 年 9 巻 1 号 p. 6-13
局所進行/遠隔転移陽性切除不能食道癌・食道胃接合部癌に対する化学療法,放射線療法,分子標的治療薬,免疫チェックポイント阻害薬などのより有効な一次治療の開発が進み,初回治療後の根治を目指した手術,いわゆる「コンバージョン手術」に関する報告が近年散見される.複数の後ろ向き研究において,コンバージョン手術にてR0切除が得られた症例の予後が良好である可能性が示されているが,コンバージョン手術の有用性や安全性に関していまだ不明な点が多い.本総説では,切除不能食道癌および食道胃接合部癌に対する一次治療後の外科的治療に焦点を当て,コンバージョン手術の安全性と有効性に関する最近のエビデンスを概略する.外科的治療を含む集学的治療は,食道癌および食道胃接合部癌に対する新しい治療戦略となり,これまで治癒不能とされていた疾患に根治的治療の選択肢を提供できる可能性がある.