日本庭園学会誌
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論文
洲本城下・旧益習館庭園の考察
西 桂
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2015 年 2015 巻 29 号 p. 29_83-29_92

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抄録
江戸時代の淡路国(淡路島)は、徳島藩の蜂須賀氏の支配下のもと、洲本に家老の稲田氏が派遣された。城下町が形成される中で、その一角の下屋敷に、曲田山を背景にして稲田氏重臣の武家屋敷が軒を並べた。曲田山一帯は和泉層群に位置し、全山砂岩の岩山よりなる。この岩山の自然石を巧みに活用して作庭されたのが下屋敷の庭園群である。その中心に稲田氏の別荘・西荘がある。後に益習館という学問所になり、庚午事変(稲田騒動)の中心舞台にもなった。この下屋敷の武家屋敷は、当時の建物群は皆無であるが、庭園遺構が、旧益習館を中心に現在でも数件認められる。巨石の自然石と人工的石組を見事に組合せ調和させた庭園であり、全国的にも稀な巨石を活かした特異な庭園と評価される。旧益習館庭園を考察することによって、その全貌も見えてくる。
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© 2015 日本庭園学会
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