本論は、庭における緊急修理の意味に伴う一般性の顕在化を目的とする。
研究の手法は、筆者らが実務に携わった7箇年にわたる名勝無鄰庵庭園における4項目の緊急修理の過程と内容を詳述し、修理に至る動機や経緯といった行為の背景を解明し、緊急修理の行動の意味を探求する。
緊急修理の一般性とは、庭内で展開する常態・遅行という速度の異なる変化のうち、恒常維持管理では対応できない遅行的変化の見落としにより、看過できないほど進行したき損への即応・応急の対応である
庭の保存管理の区分には、常態的な変化に対応する恒常維持管理、遅行的なき損のうち応急・即応的に対応する緊急修理、数か年かけてじっくり対応する定期修理といった、時間の過ごし方の違いが反映されている。
抄録全体を表示