集団力学
Online ISSN : 2187-2872
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日本語論文(英文抄録付)
町内会を「やめる」心理
-新聞社アンケートの自由記述テキストに見る脱退の実相-
馬場 健彦
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2026 年 43 巻 p. 3-33

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抄録

町内会・自治会(以下、町内会)は戦後に復活し、昭和期には高い加入率と地域運営の中心的役割を担ってきた。しかし近年、加入率の低下と活動力の衰退が指摘されており、従来の議論は主として未入会者の増加に焦点を当ててきた。だが実際には、町内会に一度加入した後、自主的に脱退する住民が少なくなく、町内会の弱体化を理解するうえで脱退者の存在は看過できない。本稿は、町内会脱退者の経験と心理的過程を明らかにすることを目的として、新聞社が実施した町内会に関するオンライン・アンケートの自由記述回答(n=328)を分析対象とした。分析には、近年社会科学で用いられるようになったテキストマイニング手法を採用し、共起ネットワーク分析および対応分析によって、現加入者・未加入者・脱退者の自由記述回答の構造を比較した。その結果、脱退者は町内会の不合理性や負担感への失望を蓄積し、不可逆的な退出過程を経て脱退に至ることが示唆された。さらに、一度脱退した住民が再び町内会に加入する可能性は極めて低く、脱退は不可逆的過程であることが明らかとなった。この過程は、Hirschman の EVL 理論における Exit(離脱・脱退) の不可逆性、および山岸の「安心社会」概念が示す相互監視的な社会構造の崩壊として理解できる。以上の結果から、町内会の持続性を確保するためには、未入会者の加入促進よりも、脱退者を生まない合理的で透明性の高い運営体制の構築が喫緊の課題であると結論づけた。

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