2020 年 129 巻 2 号 p. Cover02_01-Cover02_02
伊能忠敬の全国測量により作成され,文政4(1821)年幕府に提出された「大日本沿海輿地全図」は,大図(縮尺36000分1)214図幅,中図(216000分1)8図幅及び小図(432000分1)の3図幅からなる.「大日本沿海輿地全図」の正本は,明治6(1873)年皇居の火災により焼失したが,伊能測量隊が針突法により複製した小図の副本全3図幅が東京国立博物館に所蔵されている.針突法とは,複数の図面を作成するとき,用紙を重ね,測線の節点に針穴を通して複写する方法である.この地図は,天文方高橋景保が文政5(1822)年に昌平坂学問所に納めたものであり,昌平坂学問所の印が押されている.虫損があるが,修復され,重要文化財に指定されている.表紙の地図は,小図3図幅を接合したものである.
(地図:東京国立博物館蔵;説明:星埜由尚)