地学雑誌
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南極観測の再開をめぐつて
守田 康太郎
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1963 年 72 巻 6 号 p. 306-316

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抄録

昭和37年2月8日に昭和基地が閉鎖されて以来, 休止中のわが国の南極観測は, ようやく再開されそうな機運になつてきた。「南極地域観測事業を再開する」という政府の基本方針がすでに決定されているので, 残された予算折衝の推移如何により早ければ昭和 40 年度, おそくとも昭和 41年度から再開されることになるであろう。40 年度再開というのは, その年の秋に観測隊が出発するわけであるから, 実際に昭和基地が復元され観測がはじまるのは, 41 年の初頭のことであつて, 閉鎖以来満 4 年の中断ということになる。
南極観測の主な対象である地球物理学の多くの部門については, データの連続性が要求せられるので, 4 年の空白はまことに大きな損失といわねばならない。観測の 1 日も早い再開を望むものにとつては, しびれのきれるような長い休止であつたが, ここまで漕ぎつけるにも, いろいろの曲折があり, 決して平坦な道ではなかつた。南極観測の再開がどのような経緯で論議されてきたか, そして, いかなる構想をもつて再開されようとしているのか, などについてあらましを述べてみよう。
IGY の一環として実施された従来の南極観測の経過とその成果については, 吉川, 宮崎両氏によつてすでに本誌に紹介されているが, ここには再開問題の背景を描写する意味から, 少しくふりかえつてみることとする。若干の重複は御寛恕願いたい。

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