抄録
本研究は,地盤工学で発展した技術を資源エネルギー分野へと展開し,地下圏バイオメタン生産技術確立を念頭に置いている。地中のメタン生成の一つには微生物起源があり,土や岩中の有機物から分解された低分子量有機酸等を基質とし,微生物の代謝生産物であるメタンが生成される。この流れを基本とした地層内バイオメタン生産技術を確立するために,地中の有機物を低分子量有機酸に分解促進する必要がある。この分解促進に過酸化水素を適用した。過酸化水素は,鉄と用いることにより汚染土壌中の有機物を分解促進する効果を有する。本研究では,この土壌汚染対策の技術原理を適用し,地層内バイオメタン生産技術に関わる石炭系材料の過酸化水素による有機物分解,その間隙構造の経時変化について検討を行った。その結果,低濃度過酸化水素で根源物質からメタン生成に必要な有機酸に分解促進されることが分かった。また,材料の有機物分解時に間隙構造が変化し,微生物の生息空間を創出する可能性が示唆された。