抄録
近年,日本を含むアジア諸国では降雨に起因する斜面崩壊に伴う土砂災害の発生頻度が増加しつつある。本研究では,風化花崗岩における斜面崩壊事例が多いことを考慮し,既往の文献に基づき,花崗岩の風化特性に関する知見をレビューするとともに,その知見に基づきタイ・プーケットの風化花崗岩切土斜面における安定性評価について考察を加えた。この結果として,風化花崗岩からなる地盤において比較的急傾斜の切土斜面を構築した場合には,風化により斜面表面から比較的浅い領域に存在する細粒分が卓越する層(比較的低透水性領域)に浸透水が貯留され,それに伴うせん断強さの低下により浅層崩壊を引き起こす可能性があることを明らかにした。また,この知見を反映した調査事項に関する提言も示した。