2016 年 11 巻 1 号 p. 33-52
2014年8月20日に発生した広島土砂災害では,午前3時から午前4時にかけて107箇所の土石流と59箇所のがけ崩れが同時多発的に発生し死者74名,負傷者44名,全壊家屋133棟,半壊家屋122棟という甚大な被害が発生した。本報告では土石流が発生した渓流とその下流の被害状況を中心に調査結果をまとめた。また,土砂災害警戒区域,特別警戒区域の指定を行うための基礎調査で想定されていた被害の規模と実際の被災状況を比較して考察し,基礎調査と区域指定の課題について検討を行った。