2009(平成21)年7月21日の記録的な豪雨により,山口県防府市を中心とする地域の480箇所以上の渓流で土石流が発生した。本研究では,顕著な土石流災害発生地区の一つである石原地区の土石流が発生した扇状地端で,防府市域中央部を南流する佐波川の氾濫域に位置する箇所でジオスライサーを用いて連続試料を採取し,同地区の地盤構成が河川性・湖沼性堆積物が主であり,それに土石流堆積物薄層が挟在する結果を得た。また,新旧土石流堆積物の形成年代をそれに含まれる炭化物に対する放射性炭素年代測定値から推定し,石原地区では氾濫堆積域に到達した土石流が2009年の土石流を含め,1230年以降に少なくとも4回以上生じていたことを突き止めた。