地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
論文
細粒分を含む締固めた砂質土の土粒子流出特性に関する実験的研究
河井 正高木 聖人金 鍾官風間 基樹
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2018 年 13 巻 4 号 p. 309-318

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抄録

近年,管渠破損部からの土粒子流出に起因した地盤陥没が多発している。管渠の破損は,老朽化や地震時外力によって発生するが,線状構造物の特徴上,対象が広範囲にわたり調査に多額の費用を要するため,地盤の材料特性により調査や対策の対象範囲の限定・優先順位付けが出来ることが望ましい。土粒子流出現象については,模型実験によるメカニズム把握,空洞調査手法などの研究が精力的になされてきたが,未だ地盤物性に着目した基礎的な研究が十分になされているとは言い難い。本研究では,細粒分を含む締め固めた砂質土地盤内に管渠破損部を模擬した流出口を設け,細粒分含有率,細粒分の種類(塑性の有無),地盤の締固め条件などが流出現象に及ぼす影響について検討した。その結果,流出抵抗には,細粒分含有率のみならず,その細粒分の塑性指数も関係することを確認した。さらに,今回検討した範囲では,塑性指数が大きな細粒分を含む土は,最適含水比よりやや湿潤側に締固めることで土粒子の団粒化を抑制し透水係数が相対的に小さくなるため,より流出に抵抗できることを把握した。

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© 2018, 公益社団法人 地盤工学会
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