2017年4月に1,4-ジオキサンの土壌環境基準が新たに施行された。本研究では,1,4-ジオキサンについて,土壌における三相間での分配特性をバッチ試験により把握するとともに,不飽和土壌における揮発特性および浸透特性,飽和土壌への吸着特性を3種類の土壌カラム試験を行うことにより把握した。これらの試験の結果から,汚染土壌から揮発する1,4-ジオキサンの量は少なく,揮発した1,4-ジオキサンの多くが土壌中を移動・拡散する途中で間隙水中に溶解すること,不飽和土壌中の1,4-ジオキサンは降雨浸透があれば速やかに下方に移動するが,降雨浸透がなければ分布範囲を広げた状態で汚染土壌が存在し続けること,および1,4-ジオキサンによる汚染地下水が流動し続けた場合に下流側で土壌汚染を生じさせる可能性があることが把握された。
抄録全体を表示