現在市販されている土中水分計はいずれもセンサのごく近傍の範囲を計測しており,いわゆる「点」としての情報に限られる.本研究では,「点」の情報は維持しながら,さらに広い「面」の情報に展開できるトモグラフィー方式による土中水分量のモニタリングシステムの確立を目的とし,小型半導体チップ型センサの適用性を検討した.具体的には,高速道路盛土に対する砕石竪排水工の設置効果を検証するための模型地盤を用いて市販の静電容量センサとの比較実験を実施し,模型地盤内への注排水時におけるセンサの出力挙動について確認した.その結果,単体およびセンサ間での測定値とも,静電容量センサの測定値やそれらの平均値と一部では一致したものの,大幅な乖離も認められたことから,模型地盤の不均一性に対する評価を実施した上で,センサの測定特性による違いについてさらに精査する必要性が示唆された.