2021 年 16 巻 1 号 p. 1-12
盛土地盤に対する鉄筋挿入工の適用性を検討するため,引抜き試験や定着体の掘起し観察,地盤強度との比較評価を行った。その結果,定着体は削孔径に対して粘性土地盤で1.1倍,砂質土地盤で1.2倍,礫・玉石混り部では1.3~1.4倍に拡径される傾向にあった。また,盛土仕様に適したスペーサー規格や先端余掘り等による健全な定着体の確保が重要と言える。さらに,定着体の凹凸形状が引抜き力に影響し,特に先端が拡大した形状は補強効果が高いことがわかった。一方,引抜き力を左右する地盤の周面摩擦抵抗値(τ値)に関しては,N値及びNd値との評価式を提案することができ,これが実施工でも十分適用できることを確認した。また,切土指針に示されている周面摩擦抵抗の推定値は,盛土においても利用可能であることがわかった。