地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
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論文
  • 川波 敏博, 下野 宗彦, 竹本 将, 中田 幸男
    2021 年 16 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2021/03/02
    ジャーナル フリー

    盛土地盤に対する鉄筋挿入工の適用性を検討するため,引抜き試験や定着体の掘起し観察,地盤強度との比較評価を行った。その結果,定着体は削孔径に対して粘性土地盤で1.1倍,砂質土地盤で1.2倍,礫・玉石混り部では1.3~1.4倍に拡径される傾向にあった。また,盛土仕様に適したスペーサー規格や先端余掘り等による健全な定着体の確保が重要と言える。さらに,定着体の凹凸形状が引抜き力に影響し,特に先端が拡大した形状は補強効果が高いことがわかった。一方,引抜き力を左右する地盤の周面摩擦抵抗値(τ値)に関しては,N値及びNd値との評価式を提案することができ,これが実施工でも十分適用できることを確認した。また,切土指針に示されている周面摩擦抵抗の推定値は,盛土においても利用可能であることがわかった。

  • 杉山 歩, 井原 哲夫, 永翁 一代, 辻村 真貴, 加藤 憲二
    2021 年 16 巻 1 号 p. 13-21
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2021/03/02
    ジャーナル フリー

    高レベル放射性廃棄物の地層処分や地中熱利用等に関連して,地質環境の基礎データの収集・整理が進められている.近年の国際動向をみると微生物情報を収集していく必要性が認識されつつある一方,未だにその知見は限られている.深部地下水における微生物の基礎情報を他の水質情報と共にデータベース化していくためには,微生物解析手法を体系化し,データ集積を進める必要がある.本報は北海道幌延町浜里沿岸域に位置する大深度掘削井から採取した深部地下水を対象に行った微生物解析の結果と一度の採水で効率的に地下水中の微生物に関する基礎情報,すなわち微生物数,群集構造,活性,群集構成を評価する手順を示した.

  • -アルカリ性を呈する地盤にも有効な薬液注入技術-
    加藤 満, 後藤 宇, 大山 将, 小山 孝, 後藤 彰宏, 髙田 じゆん, 坪内 隆太郎, 中野 駿, 勝見 武
    2021 年 16 巻 1 号 p. 23-34
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2021/03/02
    ジャーナル フリー

    薬液注入による液状化対策を目的とした高分子系薬液(複合ポリマー型地盤改良剤)を開発し,薬液の安全性,改良強度,耐久性,遮水性を検討するとともに,実地盤への適用性を確認した。安全性については,サンドゲルを用いた溶出試験を行った結果,土壌汚染対策法の指定基準に適合した。また,魚類の急性毒性試験,甲殻類および動物プランクトンの急性遊泳阻害試験,藻類および海草の生長阻害試験を行い,本薬液は水生生物に及ぼす影響が非常に小さいことを確認した。改良強度については,本薬液により作製したサンドゲルは,中性の砂を用いた場合もアルカリ性(pH 9~12)に調整した砂を用いた場合も100~500 kN/m2の一軸圧縮強さ,1.0程度の液状化強度比RL20が得られることを確認した。長期耐久性については,サンドゲルを80℃の高温下に静置する分解促進試験を行い,180日(30年相当)経過しても一軸圧縮強さの低下が認められないことを確認した。また,同様の試験をpH 11の調整砂を用いて行ったところ,160日(28年相当)経過しても一軸圧縮強さの低下が認められなかった。本薬液によるサンドゲルの透水係数は,用いた薬液濃度の範囲(6~18%)では1×10-6~1×10-9 cm/s(1×10-8~1×10-11 m/s)であった。これらの基礎的な物性等を確認後,臨海部の埋立地で本薬液を用いたフィールド試験を行った。その結果,改良体の半径は計画半径を確保し,改良強度は設計基準強度を満足した。

  • 北岡 貴文, 大津 宏康, 野並 賢, ピパットポンサー・ティラポン , 松本 敦史
    2021 年 16 巻 1 号 p. 35-47
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2021/03/02
    ジャーナル フリー

    本研究では,マクロポアが発達した地盤条件における比較的高サクション状態の吸水・排水過程での体積含水率と間隙圧の変化を,Dual-Permeabilityモデルに準じてマクロポア部およびマトリックス部の挙動に分離し検討を加えた。その結果,原位置においても降雨開始時の体積含水率が圃場容水量を下回り,かつ間隙圧がそれに相当する値を下回る領域では,圃場容水量を最大値とするマトリックス流の限界排水曲線が算定されること,その限界排水曲線に沿っている状態からの吸水・排水過程は走査曲線に相当することを示した。さらに,マクロポア流の発生時は,体積含水率および間隙圧の分布が極めて不均一となるため,計測器設置位置の相違が当該斜面のように0.4m程度でも,計測される体積含水率および間隙圧の同期性が損なわれ,計測結果を解釈する上では,計測間隔による影響を考慮する必要があることを明らかにした。

  • -供用開始後40年が経過した切土のり面の地すべり事例-
    金子 雅博, 神山 惇, 下野 宗彦, 秦 二朗, 鈴木 素之
    2021 年 16 巻 1 号 p. 49-61
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2021/03/02
    ジャーナル フリー

    山口県美祢市における道路開削工事中に発生した地すべりは,有識者委員会の検討結果から切土勾配i=1:2.0にする排土案となり,この切土形状により供用開始後も長期にわたり安定していた。しかし,供用後40年が経過した時点で再び地すべりが発生した。過去に地すべりが発生していることと,その兆候から,当該地すべりブロックは滑動と休止を繰返しているため,すべり面強度は残留状態にあり,安定性を検討する上で残留強度を適切に把握する必要があった。本研究では,切土のり面に隣接する2つのすべり面に対して,既存資料の情報を踏まえた土質調査結果や動態観測結果を参考に地すべり面を確定し,リングせん断試験によって決定した残留強度定数と逆解析法から得られた強度定数がおおむね合致したケースについて述べる。

  • 能美 大希, 鈴木 誠, 菱谷 智幸, 竹内 真司
    2021 年 16 巻 1 号 p. 63-73
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2021/03/02
    ジャーナル フリー

    トレーサー試験は,地下水による物質の移行特性を評価する上で,有効な試験である。しかし,試験や評価が難しいため実施例が少なく,知見が少ない。そこで,原位置を想定したトレーサー試験の基礎的な試験手法とその評価手法について検討するため,試験水槽を用いて試験を実施した。その結果,トレーサー剤のパルス入力を実現する簡易的な投入手法の開発,井戸内の滞留の影響を抑制する上で井戸内の試験区間の容積を可能な限り小さくすることの重要性,試験から得られる有効間隙率や理論解から得られる分散係数を評価するうえで,井戸や測定器(EC計)のサイズや配置などに対する考慮が必要であることが明らかになった。得られたノウハウは今後の現場におけるトレーサー試験への展開が期待できる。

  • 永井 裕之, 菊池 喜昭, 野田 翔兵, 兵動 太一, 龍岡 文夫, 小薬 はるな, 眞壁 淳
    2021 年 16 巻 1 号 p. 75-85
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2021/03/02
    ジャーナル フリー

    これまでの締固め管理は,現場での施工後の点測定に基づく方法であるため施工エリア平面全体の品質保証が難しく,また,施工手戻りの原因ともなりやすい。そこで,迅速で面的な締固め管理を目指し,地盤剛性指標の一つである加速度応答法による締固め管理装置(CCVシステム)を活用したリアルタイムでの締固め管理方法を提案する。本研究では,大型土槽での実大締固め機械による転圧試験を実施し,従来から用いられている地盤剛性指標とCCVシステムによる地盤剛性指標であるCCV値を比較検討した。また,CCV値と乾燥密度ρd,飽和度Srの関係式を導き,締固め管理に適用する手法を提案した。

ノート
  • 西山 卓, 千葉 則行
    2021 年 16 巻 1 号 p. 87-103
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2021/03/02
    ジャーナル フリー

    大規模地震に伴う地震地すべりや谷埋め盛土の滑動崩落は,地震発生とほぼ同時に発生するために避難する時間的余裕がほとんどない。よって,どの程度の地震規模で滑動するかを,個々の斜面で事前に評価し,危険度に応じた防災・減災計画の策定が重要となる。本論では,地震動に伴う斜面の危険度評価を行うため,すべり面の土質強度定数(c)に代えてせん断抵抗係数(φp)を用いた安定計算手法(φp法)を展開した。また,震度法を適用した安定計算で用いる震度係数(ke)の算定において,空間内挿法を適用した地表面最大加速度(PGA)から求められる増幅係数(λ)を用いる方法を提案した。既往の地震地すべり・滑動崩落の検証から,すべり面勾配(θ)とせん断抵抗係数(φp)との関係などにおいて有益な情報が得られたことから,地すべり地形斜面・谷埋め盛土斜面のための地震時危険度評価手法(案)を提案した。

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