平成30年7月豪雨により愛媛県では多数の土砂災害が発生し,特に県南西部において甚大な被害となった。本研究では,はじめに愛媛県南西部の豪雨の特性と斜面崩壊の特徴について整理した。続いて,県南西部で斜面崩壊を引き起こした降雨特性について,斜面崩壊発生地点の位置情報と,解析雨量およびXRAINによる面的な雨量データを活用して分析した。短期降雨指標(1時間降水量)と長期降雨指標(土壌雨量指数)の関係を求め,判別分析を行ったところ,斜面崩壊が相次いだ時間帯には崩壊の有無に応じて降雨指標の分布に有意な偏りが見られた。また,それぞれの降雨指標には斜面崩壊数が急増する境界値が存在することがわかり,境界値を超えた際の降水量に対する崩壊確率の増加具合は地質帯で大きく異なることが明らかとなった。