国内外のバッチ吸着試験の主要ガイドラインは,初期濃度や液固比等の条件基準に統一性がなく,手順に従っても失敗せずに相関性のある吸着等温線を得ることが難しく,ガイドライン毎に異なる分配係数を導出してしまうという課題がある。本論では,既存ガイドラインで示される試験法や条件等の相違点を整理し,失敗せずに安定的に分配係数を導出できる試験条件を実験的に模索した。その結果,平衡濃度と初期濃度の比が 0.1~0.9 となる範囲で吸着試験を行う必要があり,初期濃度と液固比の設定が重要であることを明らかにした。そのためには予備試験の実施が必須であり,本試験と合わせて一連の吸着試験方法を提案した。本論で提案する吸着試験方法の適用性を 3 機関でクロスチェックした結果,失敗せず安定的に相関性のある分配係数を導出できることを確認した。