地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
17 巻, 3 号
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特集号
  • 乾 徹
    2022 年 17 巻 3 号 p. 247-248
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル フリー

    第14回環境地盤工学シンポジウムの投稿論文から選定された論文を収録した地盤工学ジャーナル第14回環境地盤工学シンポシウム特集号の発行にあたり,当該シンポジウムの開催状況と当該分野の研究状況,本特集号の編集方針を巻頭言としてまとめたものである。

  • 大山 将
    2022 年 17 巻 3 号 p. 249-254
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル フリー

    トンネル建設工事で遭遇した自然由来でヒ素を溶出する掘削土砂に対して,酸化マグネシウム系材料(マグネシウム系固化材)を用いた不溶化処理を適用した事例のうち,室内配合試験で作製した不溶化処理土や,実施工時に現場で採取した不溶化処理土を長期間保管し,10~12年後まで溶出挙動を調査した結果について報告する。室内配合試験や現場で不溶化処理した掘削土砂は,酸化マグネシウム系材料の添加量を30 kg/m3以上確保することで,高い不溶化効果とpH変化に対する安定性が長期間持続していることが確認された。室内試験では高炉セメントB種および塩化第二鉄液を用いて不溶化効果の比較検討を実施したが,いずれもpH の変動によりヒ素不溶化のメカニズムが崩れ,長期的にヒ素溶出量は増加した。

  • 海野 寿康, 新舎 博, 吉澤 健太
    2022 年 17 巻 3 号 p. 255-265
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル フリー

    固化処理土の現場配合の決定に関して,フロー値を同一に調整した処理土を作製し,流動性と強度の両条件を満足する配合試験方法を提示した。実験に使用した原料土は2 種類の関東ロームと海成粘土,およびカオリンである。次に,処理土のフロー値は含水比に対して鋭敏に変化することを示した。また,処理土内の水を非自由水と自由水に区分し,非自由水は液性限界水,自由水は固化材の水和水と残った余裕水の和であると仮定して,自由水固化材比と自由水量の関係を示した。最後に,処理土の強度特性を示し,合わせて現場配合の決定方法を例示した。

  • 肴倉 宏史, 細野 賢一, 河原 裕徳, 横山 裕之
    2022 年 17 巻 3 号 p. 267-275
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル フリー

    地盤を構成する材料における有害物質の溶出挙動や吸着挙動を表現するモデルとして,従来の移流分散解析は,固液界面での吸脱着平衡が組み込まれている。本研究では,固相内拡散と吸脱着平衡を接続した“DF-Kd モデル”を作成し,液相が完全混合されるバッチ試験,および,一次元移流分散条件のカラム試験のそれぞれについて模擬計算を行い,固相内拡散係数 DF や分配係数 Kd などの各パラメーターの影響を解析した。DF-Kdモデルは,バッチ試験中の液相濃度の経時変化やカラム試験での溶出液の濃度ピークやテーリング現象等を表現可能である。各パラメーターの取得方法が確立され,地盤材料の新たな評価方法として活用されることが期待される。

  • 原 弘行
    2022 年 17 巻 3 号 p. 277-284
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル フリー

    高炉水砕スラグを用いて造成された試験盛土は数か月で大きな強度発現が確認された。それに対して,淡水に浸漬させて硬化挙動を確認した室内試験では,1年以上自立しないことも認められ,現場で発揮される硬化特性とは大きく異なる場合がある。このような結果の乖離には,飽和度が影響していると考え,本研究では異なる飽和度で養生した水砕スラグに対して一軸圧縮試験とpH試験を実施し,飽和・不飽和状態における強度発現特性を調べた。その結果,飽和度が20~80%の場合,飽和させた条件よりも早期に硬化が始まり,その後の強度増加も著しいことが明らかになった。しかし,飽和度が10%のときは硬化に長期間を要し,発揮される強度も小さいことが示された。

  • 松丸 貴樹, 佐藤 武斗, 藤本 達貴, 山越 陽介, 赤司 有三
    2022 年 17 巻 3 号 p. 285-296
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル フリー

    鉄道・道路の盛土や自然斜面ののり面においては,降雨時の浸透や侵食を防止する目的でのり面工が施工される場面が多い。のり面の降雨浸透を防ぐ遮水の目的では,張ブロック工等で被覆するのり面工が適用されるが,産業副産物を適用できれば建設コストの低減,環境負荷の低減に繋がることが期待される。本研究では,鉄鋼スラグ材料の水硬性に着目して,鉄鋼スラグの遮水のり面工への適用性に関する検討を行った。まず,密度や含水比を変えた鉄鋼スラグの室内透水試験から基本的な透水係数に関する特性を把握し,その後鉄鋼スラグののり面への施工を模擬した降雨散水実験を行った。最後に,実際に鉄鋼スラグののり面への試験施工と,盛土内部の含水状態の長期計測を行った。一連の試験結果から,鉄鋼スラグを十分に締固めることで遮水のり面工として適用可能であることがわかった。

  • 西村 友良, 古関 潤一
    2022 年 17 巻 3 号 p. 297-306
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル フリー

    放射性廃棄物地層処分施設は多重バリア(ベントナイトを主体とする人工バリアと天然の岩盤)を適切かつ効果的に組み合わせ安全性を確保しなければならない。人工バリアが受ける複数の外的要因の特徴を検証すると,複合的かつ複雑な現象をベントナイトに引き起こすと考えられる。本研究は不飽和ベントナイト混合砂に熱・流体・力学・化学連成挙動に関係する外的要因の内,いくつかの要因に着目し,加熱作用(熱)を等方的に与え,乾湿作用(サクション増減,飽和膨潤)を施し,物性変化を明白にした。また透水・透気係数を求め,供試体加熱時に発生する間隙圧挙動にも着目した。また人工バリア設計に関連ある一軸圧縮強さを検討し力学的側面の解明も行った。

  • 西村 伊吹, 日野 良太, 大西 健司, 西川 直仁, 松原 仁
    2022 年 17 巻 3 号 p. 307-318
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル フリー

    土中微生物(分解菌)を用いた油汚染土のバイオレメディエーションにおける油の分解量は,Michaelis-Mentenモデルに代表される酵素反応拡散理論の発展によってある程度予測可能となった。しかしながら,3次元領域における土の粒度分布や分解菌の増殖・動態を考慮しつつ,油の分解パターンの経時変化を予測するまでには至っていない。本研究では,Michaelis-Mentenモデルに油分解菌の摂食および移動モデルを付加した新たな数理モデルと,土の粒度分布を任意に設定できるシミュレータを提案する。そして,本手法を用いることで,時間の経過に伴う油分の分解と油分解菌の動態が定量的に評価可能であることを示す。

  • 清水 祐也, 塩入 潤一郎, 中川 将吾, 高井 敦史, 勝見 武
    2022 年 17 巻 3 号 p. 319-329
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル フリー

    近年多発している巨大自然災害により,膨大な量の災害廃棄物が発生している。仮置場への搬入時や仮置き時にはできる限りの廃棄物と土砂の選別が徹底されるが,それらが渾然一体となった土砂混合廃棄物の発生は不可避であり,資材としての再資源化を実現するためには効率的な選別が求められる。本研究では,土砂分の特性や選別機械の特性が混合廃棄物の分離性・選別特性を決定しうる可能性に着目し,土砂分の含水比と細粒分含有率を変化させ,模擬的に作製した土砂混合廃棄物の選別特性を実機試験と室内試験により評価した。その結果,細粒分が多く含水比が高い条件では混合廃棄物の塊状化が顕著になり,選別効率が低下すること,混合廃棄物の選別効率は土砂分の塑性限界付近で最も低くなること等を明らかにした。

  • 三浦 拓也, 遠藤 和人, 山田 正人
    2022 年 17 巻 3 号 p. 331-339
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル フリー

    国内外のバッチ吸着試験の主要ガイドラインは,初期濃度や液固比等の条件基準に統一性がなく,手順に従っても失敗せずに相関性のある吸着等温線を得ることが難しく,ガイドライン毎に異なる分配係数を導出してしまうという課題がある。本論では,既存ガイドラインで示される試験法や条件等の相違点を整理し,失敗せずに安定的に分配係数を導出できる試験条件を実験的に模索した。その結果,平衡濃度と初期濃度の比が 0.1~0.9 となる範囲で吸着試験を行う必要があり,初期濃度と液固比の設定が重要であることを明らかにした。そのためには予備試験の実施が必須であり,本試験と合わせて一連の吸着試験方法を提案した。本論で提案する吸着試験方法の適用性を 3 機関でクロスチェックした結果,失敗せず安定的に相関性のある分配係数を導出できることを確認した。

  • -屋外土槽実験による雨水浸透挙動とセシウム溶出,及びベントナイト性状の観察-
    石森 洋行, 遠藤 和人, 皆瀬 慎, 氏家 伸介, 山田 正人
    2022 年 17 巻 3 号 p. 341-351
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル フリー

    放射性セシウム 137 を含む放射能汚染飛灰は雨水等への溶出性が高いため,このような飛灰を埋立処分する際には,埋立層上部には溶出の起源となる雨水浸透を隔離するための難透水層を,埋立層下部にはセシウムが溶出した際に備えてその移動を抑制するための土壌吸着層を敷設することになっている。このような埋立条件下における物質動態を明らかにするために,幅 2,400 mm × 高さ 2,400 mm × 奥行 600 mm の実験土槽を用いて,放射能汚染飛灰埋立地を模した屋外実験を 3 年間継続してきた。本論文では,実験土槽内で観察された雨水浸透挙動と,埋立飛灰から溶出したセシウムの浸出水濃度,および隔離層に用いたベントナイトの性状変化を述べるとともに,隔離層の導入によって形成される非湿潤領域を評価した。

  • 白河部 匠, 佐藤 伸, 山本 修一, 志村 友行, 西村 友良
    2022 年 17 巻 3 号 p. 353-360
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル フリー

    地層処分におけるベントナイト系緩衝材は,廃棄体からの崩壊熱によって,飽和度が低下することが予測されている。そこで,地層処分の安全性確保のために,不飽和ベントナイトの力学特性に及ぼす乾湿挙動の影響を明らかにする必要がある。本研究では,蒸気圧法を援用して,締固めたベントナイト供試体のサクション変化に伴うひずみ挙動を測定した。その結果,供試体の初期条件として飽和させた供試体は,乾湿作用によってサクションと間隙比の関係が不可逆的に変化する一方,初期不飽和供試体は可逆的に変化することが分かった。また,これらのひずみ挙動について,ベントナイトの構造骨格に着目して微視的構造から推察を行った。

  • 小川 翔平, 木下 久美子, 加藤 雄大, 加藤 雅彦, 肴倉 宏史
    2022 年 17 巻 3 号 p. 361-372
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル フリー

    本研究では,再生製品を対象とした溶出パラメータ取得のためのバッチ溶出試験において,撹拌操作時の粒子磨砕の低減と溶出平衡時間の短縮を両立することを目的に,撹拌条件の検討を行った。ヘッドスペースが最小限となるよう試料と純水を入れた容器で,5種の撹拌条件の溶出試験を実施し,試料の細粒分の含有率と粒子径分布の変化および接触時間 7 日までの溶出量推移を測定した。その結果,試料をナイロンネ ットで底面から浮かせ,600 rpmでのスターラー撹拌を行う条件において,溶出前後の細粒分増加量が5%未満で,かつ2日以内にナトリウムやホウ素など易溶性の元素種の溶出量の増加が安定したことから,液固比バッチ試験等の溶出パラメータ取得を目的としたバッチ溶出試験の撹拌条件に適することが示された。

論文
  • 西岡 孝尚, 渡邊 浩幸, 太田 英将, 小森 和弘, 釜井 俊孝
    2022 年 17 巻 3 号 p. 373-392
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル フリー

    本稿は,地形・地質・地下水・地盤強度など多角的な地すべり調査と過去の道路切土により発生した崩壊や地すべりの再現解析にもとづき,新たな切土に対する安定性を評価し対策工を検討したもので,この事例から得られた土工の留意点を示すものである。地すべり調査では,すべり面となる可能性の高い岩盤の脆弱部や斜面安定上危険な被圧水が確認された。解析では,従来の経験式や技術者の判断によって設定した当該斜面の強度定数 c,φにより過去の崩壊や地すべりを再現し,得られた強度定数を用いて想定される初生すべりに対する安定性を評価した。その結果,切土後の安全率が 11%(3 次元)あるいは 25%(2 次元)低下することが分かった。新第三紀の砂岩泥岩互層(付加体)からなる切土斜面では,抵抗力の強い砂岩層が切土によって失われた場合,安全率が大きく低下し,初生地すべりが予測される。

  • 川久保 昌平, 大野 宏和, 松井 裕哉, 富樫 陽太, 谷 和夫, 加藤 猛士
    2022 年 17 巻 3 号 p. 393-400
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル フリー

    岩盤の変形特性を把握するために平板載荷試験やプレッシャーメータ試験等が実施されるが,現在これらの原位置試験によって得られる変形特性から岩盤の異方性を定量的に評価する手法は確立されていない。本論文ではボアホールジャッキ試験によって,異方性を評価する手法を提案するものである。評価手法の構築に必要な理論解析は,古典的異方性弾性理論に基づいた。そこでは弾性厳密解より孔壁変位式を導き,異方性を考慮したヤング率を逆解析する手法を示した。また,原位置でのボアホールジャッキ試験により取得したデータを用いてヤング率と弾性主軸を逆解析し,提案する手法の妥当性を確認した。

  • 西岡 英俊, 松本 尚也, 福田 文香, 小野 慶一朗
    2022 年 17 巻 3 号 p. 401-420
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル フリー

    施工性に優れる自立式土留め工を近接施工のように変位の制限が厳しい条件に適用する場合は,変位を極力抑制するため壁体剛性を高める必要がある。本研究では,壁体剛性の高い自立式土留め工の根入れ長に関する設計上の課題,特に変形解析時の半無限長の仮定条件となるβL の制限の必要性に着目し,アルミ棒積層体を用いて崩壊までを模擬した模型掘削実験とその再現解析を実施した。その結果,従来のβL の制限を無視しても簡易的な変形解析はある程度適用可能だが,簡易的な転倒照査だけではβL 制限を無視することによる危険性に対処できないことが確認された。そして従来のβL の制限の代替として,転倒照査で求まる設計根入れ長に対して,βL に応じた安全率を乗じて最終的な根入れ長を算定する簡易手法を提案した。これにより,変位抑制のために壁体剛性を高めた場合でも,合理的な根入れ長を算定することができる。

  • 土田 孝, 井出 啓昭, 粟津 進吾, 笹倉 博行, 畠 俊郎
    2022 年 17 巻 3 号 p. 421-431
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル フリー

    製鋼スラグ混合土を多様な用途で利用するため,粘土の含水比が液性限界よりも低い場合における強度発現を調べた。また,製鋼スラグ混合土において標準とされている径 100 mm,高さ 200 mm の供試体の強度と同等の強度を径 50 mm,高さ 100 mm の供試体で求める方法について検討した。ハンドミキサーで混合した試料では初期含水比 0.9wLの試料は 1.1wLの試料より強度が低下したが,強制 2 軸ミキサーで混合した試料は初期含水比が 0.9wL でも含水比の低下に伴う強度増加がみられた。混合品質の違いが強度差となったと考えられる。スラグの最大粒径を 10 mm とする 2 つの方法で作製した径 50 mm,高さ 100 mm の供試体の強度は,いずれも標準試料の強度の 1.12~1.13 倍であり良好な相関を示した。これらの方法は本材料の研究の効率化の観点で有効と考えられる。

  • 小高 猛司, 李 圭太, 中村 宏樹, 山下 隼史
    2022 年 17 巻 3 号 p. 433-449
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル フリー

    河川堤防の浸透による被災事例の多くは,非常に透水性の高い基礎地盤上に,透水性の低い被覆土層が存在する複層構造の基礎地盤上の河川堤防で発生している。本論文では,小型堤防の浸透模型実験を実施し,複層構造の高透水性基礎地盤上の河川堤防の浸透破壊に対して有効な対策と考えられる基盤排水工に着目し,設置位置と規模による堤体変状抑制効果について検討を行った。さらに,二次元非定常浸透流解析によって,模型実験における局所的な動水勾配および飽和度分布を明らかにするとともに,実務に準じた浸透に対する安全性照査を実施することよって,模型実験結果の妥当性を示した。その結果,基盤排水工は設定位置が重要であり,大規模な法すべりのトリガーとなる法先での小規模すべりを抑制する点で,堤体法尻部に基盤排水工を設置することが最も効果的であることを示した。

  • 森 友宏, 土倉 泰, 関 崇夫, 加村 晃良, 風間 基樹
    2022 年 17 巻 3 号 p. 451-466
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,SWS 試験(スクリューウェイト貫入試験)におけるスクリューポイントの回転貫入時に,周辺地盤に伝達される圧力の大きさと,伝達範囲を把握することである。SWS 試験実施時の応力状態を明確にすることで,SWS 試験は,地盤の硬軟を示す定性的指標から力学的根拠を持った定量的指標へと進化する。本論文の結果は次の通り。(1)スクリューポイントの幾何学的形状からSWS 試験時におけるスクリューポイント表面から地盤に作用する圧力計算式を提案した。(2)スクリューポイントの回転貫入時に周辺地盤に伝達される圧力を実測したところ,圧力の伝達範囲(回転貫入による圧力増分が圧力センサーの計測下限値である 5 kN/m2未満となるまでの範囲)は 15~20 cm であることが明らかになった。(3)スクリューポイント表面に薄膜圧力センサーを貼付して圧力の実測を行い,提案した圧力計算式の妥当性を示した。

ノート
  • 小林 薫, 松元 和伸, 竹下 祐二, 森井 俊広
    2022 年 17 巻 3 号 p. 467-473
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル フリー

    土壌パラメータ α は,土の粒径組成の特徴に基づいて決定され,土中の不飽和浸透挙動を数値計算等で評価・検討する場合に必要なパラメータの 1 つである。例えば,原位置透水試験のプレッシャーインフィルトロメータ法では,原位置での現場飽和透水係数の算出において土壌パラメータ α の設定が必要である。しかし,各種試料の土壌パラメータ α の推定方法は,現状では十分に確立されているとは言い難い。本論文では,土の粒径組成の特徴に応じて設定される土壌パラメータ α をより適切に推定・設定することを目的に,土の透水係数と土壌パラメータ α との関係を整理し,良好な相関関係が得られた。その結果,土の粒径組成の特徴に応じて設定される土壌パラメータ α は,土の透水係数に基づいて概ね推定できると共に,水分飽和近傍の現場飽和透水係数を基に,完全な飽和状態の飽和透水係数も推定できる可能性を示した。

  • 新井 新一, 太田 雅之
    2022 年 17 巻 3 号 p. 475-486
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル フリー

    非圧密非排水(UU)三軸圧縮試験(以下,UU 三軸圧縮試験)や土の繰り返し非排水三軸圧縮試験(以下,液状化強度試験)は,各種サンプラーで採取した土質試料から必要な供試体数を作製する。これらの供試体は,異なる深度で作製されるが均質性があると見做される(以下,現行法)。しかし,著者らは,この見做し事項が供試体の不均質性に繋がり,試験結果に影響を与えると考えた。また,これらの試験結果が設計で採用されないことが多くある。そこで,供試体の不均質性を改善するため口径を拡大した三重管サンプラーによる土質試料から,同一深度の供試体を用いた土質試験を提案する(以下,提案法)。実証実験として,現行法と提案法の盛土のUU 三軸圧縮試験の比較,提案法の沖積砂質土および盛土の砂質土の液状化強度試験を実施した。これらの結果から,提案法は現行法を改善できることが確認できたので報告する。

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