自然由来重金属等含有掘削土の不溶化工法に用いられる人工資材の性能評価のためには,人工資材の主成分鉱物相の溶解度を評価することが重要である。先行研究では,溶液組成から計算した各鉱物の飽和指数(SI)から溶解度制限固相を推察したが,本研究では電子顕微鏡(EPMA)による観察および元素マッピング分析によって溶解度制限固相を確認できるかどうかを検討した。その結果,マグネシウム(Mg)系資材では,periclase(MgO)を核として,外縁部に水和した brucite(Mg(OH)2)が形成され,この brucite が Mg の溶解度制限固相であると示唆された。MgO が共存するカルシウム(Ca)系資材では,Mg が calcite(CaCO3)全体に分布し,溶解した際はdolomite(CaMg(CO3)2)に類似した挙動を示し,Ca の溶解度を制限したことがわかった。