2024 年 19 巻 3 号 p. 285-303
地すべり地では,地下水を排除するための横ボーリングや集水井が設置される。この横ボーリングの中に挿入されている集水管は時間の経過とともに,閉塞物により目詰まりを起こすことが多くなっている。閉塞物の要因の一つに,集水管外壁側等の難洗浄箇所で長年の間に形成されたバイオフィルムの中のゾルやゲルを考えることができる。本研究では,これをマイクロ・ナノバブル(ファインバブル)を使って洗浄するシステムを開発し,複数の集水井で実験を行った。そして,このシステムはバイオフィルムが成熟し健全度が低くなった集水井ほど,マイクロ・ナノバブルを高濃度にすることで集水機能は回復し,孔口が管閉塞された集水管にも有効であることを示した。また,洗浄効果を前後の流量等により得られる健全度(レベル)で客観的に評価する方法を提案した。