2025 年 20 巻 1 号 p. 3-14
筆者らは,実現場で発生する高含水泥土の処理の簡便化,運搬性の向上を目的として,古紙を原料とする微細粉体 (以下,Finely Shredded Paper : FSP) による土質改良材を提案している。これまでの研究からFSPを添加することで泥土内の自由水が吸収され,運搬性が向上することが明らかになっている。しかし,処理泥土については産業廃棄物処分場への負荷低減のために,再資源化まで一貫した研究が求められている。また,FSPは有機物であるため,処理泥土の再利用には長期の安定性について検討することが必要である。本研究では,物性の統一を図るため同一の紙でFSPを模擬して作製した微細粉体 (以下,標準 FSPと呼称) を用いて,処理泥土の長期安定性について検討するために力学試験を行った。結果から,標準FSPにより処理泥土の強度は増加するが,長期の分解を受け地盤内のFSP量が一定量減少することが明らかになった。