地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
ノート
被災調査支援システムの開発と利用
伊藤 陽司豊田 守中村 大山下 聡鈴木 輝之
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 4 巻 2 号 p. 197-204

詳細
抄録

地震災害など広域的で多面的な災害の調査では被災箇所や被災状況の迅速な把握とそれらの共有が重要であり,これらが被害軽減に大きく寄与する。しかし,調査地域の地理に不案内であったり,盛土地盤や斜面の崩壊によって道路網が寸断されていたりして迂回を繰り返すうちに,しだいに調査ルートや被災箇所の位置を確定することが困難となることがある。また,調査移動中は常に現在位置を把握するために周囲の目標を視認しながら,そして被災箇所を探しながら自動車を運転することになり,危険な事態に陥ることも少なくない。調査者の安全確保,速やかな被災調査・記録および被災情報の共有を目的として,これまでの災害調査の経験を基に,野外での活動を重視した被災調査支援システムを開発した。このシステムを2006年10月の大雨による地盤災害の調査に用い,このシステムが安全な調査活動,被災箇所での速やかな位置確定や被災状況の記録,被災情報の提供などに寄与することを確認した。また,調査目的に応じた記録シートを準備することによって定期的な斜面点検や環境調査など多目的に利用できること,そして航空調査にも適用できることも確認した。

著者関連情報
© 2009 公益社団法人 地盤工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top