2014 年 9 巻 3 号 p. 341-358
本研究では,局地的・短時間・高降雨強度の集中豪雨に起因する洪水被害および土砂災害が多発している状況を踏まえ,短時間集中豪雨と熱帯性豪雨(スコール)の降雨特性の類似性に着目し,タイで地盤特性の異なる2サイトの斜面における斜面表層部での水収支について,原位置計測結果,および一段タンクモデルを用いた逆解析結果に基づき考察を加えた。この結果として,降雨量は,降雨開始直後は,表面流出量および浸透量に加えて,地表付近に保持される水量,すなわち表層貯留量の3成分に分離されることを明らかにするとともに,その分離の割合は,透水性および間隙率等の地質の違いのみならず,降雨強度に依存して変動することを明らかにした。