日本老年療法学会誌
Online ISSN : 2436-908X
総説
高齢者の食後低血圧
―見逃される低血圧―
大舘 隼 小林 壮太甘粕 康太前川健一郎鎌田 夏未齋藤 新貴井上 達朗
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キーワード: 高齢者, 食後低血圧, 有病率
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2024 年 3 巻 論文ID: 2024_002_RA

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抄録

食後低血圧は高齢者でよく発症するが,日常診療で十分に認識されていない症状である。そのため,評価や治療が十分に行われていないのが現状である。食後低血圧の病態生理は十分に解明されていないが,自律神経障害,消化管ホルモンの変化,小腸への栄養供給速度,胃拡張,内臓血流貯留など,多くの因子が関与している可能性がある。食後低血圧は,転倒や心疾患,脳卒中発症,死亡のリスク因子であることが報告されている。したがって,高齢者の食後低血圧が広く認識されることが,適切な評価・治療を促進し,これらの有害事象を予防できる可能性がある。本総説では,高齢者の食後低血圧の機序や有病率,臨床像,治療について論じる。

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© 2024 一般社団法人 日本老年療法学会
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