日本老年療法学会誌
Online ISSN : 2436-908X
原著
介護予防施設利用者におけるスマートフォンを用いた歩行速度測定の傾向とフレイルとの関連
山下 真司 神谷 健太郎堀田 一樹窪田 杏奈橋田 浩一宮田 裕章
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2024 年 3 巻 論文ID: 2024_005_OA

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抄録

目的:スマートフォン(スマホ)などの技術革新により日常生活の歩行速度を測定することが可能となったが,フレイルを有する者における測定精度や傾向については未だ十分に検討されていない。本研究は介護予防施設を利用している方を対象に,スマホで測定した歩行速度の測定精度やフレイルとの関係を前方視的に検証した。方法:介護予防施設利用中のスマホを保有している利用者のうち,スマホアプリ「チャミ」をインストールできた方を対象とし,日々の歩数と歩行速度を記録した。1年間追跡を行った後,スマホから得られた歩行速度の記録と改定日本版CHS基準で評価した実測のフレイルとの関連をスピアマンの順位相関係数を用いて検証した。結果:アプリをインストールし,1年間の追跡が完結した8名(プレフレイル5名,フレイル3名,平均年齢78.3歳,男性25%)が本研究の解析対象となった。フレイルの程度が大きいとアプリで測定された歩行速度が遅く(ρ=-0.2142),歩行速度を記録できた日数が少なく(ρ=-0.7433),記録された歩行速度データの変動係数が大きくなる(ρ=0.4662)傾向が相関係数として示された。結論:スマホを用いて記録された歩行速度はフレイルの程度と関連する傾向が相関係数として示され,フレイルの程度が大きいとスマホによる歩行速度の測定精度が低くなる可能性が示唆された。

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© 2024 一般社団法人 日本老年療法学会
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