目的:Functional Vision Screening Questionnaire(FVSQ)は,視覚障害に関連した専門サービスを必要とする高齢者のスクリーニング指標として米国で開発された。筆者らは先行研究において,FVSQを和訳し日本版FVSQ(J-FVSQ)を報告した。本研究の目的はJ-FVSQの信頼性と妥当性を検証することである。方法:単一施設での横断調査を実施した。対象者は視覚障害者と晴眼者であった。調査項目は,基本属性,J-FVSQ,機能的視覚スコア(Functional vision score; FVS)であった。信頼性の検証として,クロンバックのα係数と同一検者が2回測定した際の級内相関係数を算出した。妥当性の検証としてJ-FVSQとFVSの間の相関係数の算出,ならびに,視覚障害者と晴眼者の間でのJ-FVSQの比較を実施した。結果:解析対象者は視覚障害者38名(平均年齢56.0),晴眼者44名(平均年齢46.2)であった。クロンバックのα係数と級内相関係数は,それぞれ0.91,0.96(p<0.01)であった。J-FVSQとFVSの間のSpearman順位相関係数は-0.66(p<0.01)であった。J-FVSQの中央値は視覚障害者が34点,晴眼者が15点であり,視覚障害者群が有意に高い値(p<0.01)を示した。結論:J-FVSQは信頼性と妥当性を有する評価指標である可能性が示唆された。